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カードの選び方

海外旅行保険が無料で付くカードを「治療費用」で比較。自動付帯はほぼ絶滅し、勝負は出国前の決済で決まる

更新日: 2026-08-22データ確認日: 2026-08-22執筆: CardLens編集部

年会費・還元率などの数値は発行会社の公式サイトで確認し、確認日を記載しています。詳しい検証の手順は編集方針(データの集め方と確認ルール)をご覧ください。

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海外で保険を使う場面を思い浮かべてください。多くの人が現実に直面するのは、盲腸で入院した、転んで骨折した、食あたりで点滴を受けた——つまり治療費用です。カードの宣伝で目立つ「最高2,000万円」は傷害死亡・後遺障害の金額で、これは病院の請求書には使えません。だから無料カードの海外旅行保険を比べるなら、見るべき数字は傷害治療費用と疾病治療費用の上限です。

年会費無料〜低額のカードについて、公式ページで補償額と付帯条件を確認し、治療費用の額で並べ替えました。結論を先に3つ書きます。

  1. 治療費用がいちばん厚いのはエポスカード(傷害治療200万円・疾病治療270万円)。楽天カードが各200万円で続き、三井住友カード(NL)は傷害・疾病あわせて50万円です。同じ「年会費無料で海外旅行保険付き」でも、実際に使う枠は4倍以上の差があります。
  2. ここに挙げたカードはすべて利用付帯。持っているだけでは補償されません。しかも「何を・いつ払えば効くか」は会社ごとに違い、楽天カードは公式に「航空券のみのご購入は含まれません」と書いています。
  3. 廃止された補償が、現行のものとしてネットに残っています。学生専用ライフカードの海外旅行傷害保険は2026年3月31日以降の出発分から廃止済みですが、公式のカード紹介ページに「廃止しました」とは書かれていません。載っていないことは、付いていることの証明にはなりません。

治療費用の額で並べた比較表

カード 付帯条件 傷害死亡・後遺障害 傷害治療費用 疾病治療費用 賠償責任 携行品損害 救援者費用 補償期間 家族特約
エポスカード 利用付帯 最高3,000万円 200万円 270万円 3,000万円(免責なし) 20万円(免責3,000円・1個/1組/1対あたり10万円限度) 100万円 旅行開始から90日間(かつ旅行期間中) 公式は「ご本人さまのみが対象」と明記(同伴者の扱いは表の下の注記参照)
楽天カード 利用付帯 2,000万円 200万円 200万円 3,000万円 補償無し(公式ガイドの表記) 200万円(会員資格期間中の通算) 日本出国日から3か月後の午後12時まで 公式ガイドの保険金額表に家族特約の記載なし(家族カード会員の扱いは公式で要確認)
三井住友カード ゴールド(NL)Oliveフレキシブルペイ ゴールド 利用付帯 2,000万円 傷害・疾病あわせて100万円 同左(公式は1行表記) 2,500万円 20万円(免責3,000円) 150万円 公式の一覧に記載なし 公式の一覧に記載なし
VIASOカード(三菱UFJニコス) 利用付帯 最高2,000万円 治療費用100万円程度(公式説明ページの案内。傷害・疾病の内訳表記は確認できず) 同左 確認できず 20万円程度(自己負担額1事故3,000円) 確認できず 確認できず 確認できず
三井住友カード(NL)・Oliveフレキシブルペイ 一般 利用付帯 2,000万円 傷害・疾病あわせて50万円 同左(公式は1行表記) 2,000万円 15万円(免責3,000円) 100万円 公式の一覧に記載なし 公式の一覧に記載なし
学生専用ライフカード 2026年3月31日以降の出発分から廃止 なし なし なし なし なし なし なし(公式が家族特約対象者の補償もないと注記)

※正確な内容は各社公式でご確認ください(確認日2026-08-22)。出典:エポスカード/楽天カード同ご利用ガイド(PDF)/三井住友カード カード別保険金額一覧/ライフカード/三菱UFJニコス VIASOカード(VIASOのみ確認日2026-08-13)。

表を読むときの注意を5つ補足します。

表から言えること:分岐点は2つだけ

分岐点1:治療費用の枠が、そのまま「使える金額」

死亡・後遺障害の欄を横に見ると、2,000万〜3,000万円で大きな差はありません。ところが治療費用の欄は270万円から50万円まで並び、いちばん下は0円(廃止)です。海外の医療費は日本の感覚より高くなりやすく、入院や搬送が絡めば数百万円に届くこともあります。比較の軸を死亡保険金から治療費用に移すだけで、カードの並び順は入れ替わります。

治療費用を厚くしたいなら、複数枚を組み合わせるのが現実的です。エポスカード公式の海外旅行傷害保険ページは、同種の保険が付いたカードを複数持っている場合、傷害死亡・後遺障害は合算されず最高保険金額が限度になる一方、それ以外の保険金額は合算され、各カードの金額に応じて按分して支払うと説明しています。つまり死亡保険金の上限は増えないが、治療費用などの枠は合算される。ただし同じ公式が「支払い保険金は損害額が上限」とも注記しているとおり、実際に受け取れるのはかかった費用までで、枠を積んだ分がそのまま現金になるわけではありません。2枚持ちが効くのは、まさに実際に使う側の枠です。

分岐点2:「出国前に払ったか」で全部決まる

もうひとつの分岐点は金額ではなく手続きです。表の付帯条件はすべて利用付帯で、しかも条件を満たす決済は原則として日本を出る前に済ませておく必要があります。ここを外すと、上の表の数字は1円も出ません。

同じ「利用付帯」でも、条件は会社ごとに違う

利用付帯という言葉は同じでも、中身は各社バラバラです。公式の表現で並べます。

カード 保険が効く支払い(公式の表現) 出国後の決済
エポスカード 「旅行代金」。公式の定義は「宿泊を伴う募集型企画旅行の代金」または「公共交通乗用具の料金」(カード発行日の翌日以降に日本を出発する旅行が対象) 道が残っている。出国前に旅行代金を払えば旅行開始から90日間、出国後に「旅行料金(公共交通乗用具のみ対象)」をはじめて支払った場合は支払った時から90日間が対象
楽天カード 公式に「楽天カード、楽天ゴールドカードには自動付帯はありません」と明記。条件は日本を出国する以前に「募集型企画旅行の料金」に該当する代金を対象カードで支払うことで、公式は「航空券のみのご購入は含まれません」とも明記 対象外。公式が「出国後に決済をした海外ツアーは対象外です」と明記
三井住友カード 事前に旅費などをカード決済することが前提 2025年10月16日以降の出発分から、出国後の公共交通機関の決済という条件が廃止され、出国前の決済が必須に
JCB カード W 日本出国前に「搭乗する公共交通乗用具」または「参加する募集型企画旅行」の料金を支払うこと 出国前が条件

※出典:上記の各公式ページ、および三井住友カード「海外旅行傷害保険のカードご利用条件改定に関するお知らせ」JCB「付帯保険の補償内容とカード別の保険内容」(確認日2026-08-22)。

読み取れることは単純です。パックツアーを申し込む人は楽天カードでも条件を満たしやすく、個人手配で航空券とホテルを別々に取る人は楽天カードの条件を満たせない可能性がある。楽天カードのご利用ガイドは「公共交通乗用具の利用では利用条件を満たさなくなります」「自宅から出発空港までの交通費等、国内の交通手段につきましてはご利用条件に含まれません」とも書いています。一方エポスカードは「宿泊を伴う募集型企画旅行の代金」または「公共交通乗用具の料金」で発動し、しかも出国後の公共交通乗用具にも道が残っています。ここが、同じ「年会費無料・利用付帯」でも実務上いちばん差が出るところです。

よくある誤解を、4つ訂正します

誤解1「最高2,000万円と書いてあるから安心」 その2,000万円は傷害死亡・後遺障害の上限です。治療費用は別枠で、三井住友カード(NL)なら傷害・疾病あわせて50万円。見出しの金額と、実際に使う金額は別物です。

誤解2「無料カードなら、持っているだけで補償されるはず」 本記事で公式を確認したカードは、いずれも利用付帯でした(市場のすべての無料カードを調べたわけではないので、「自動付帯のカードは1枚も存在しない」という意味ではありません)。楽天カードは公式に「楽天カード、楽天ゴールドカードには自動付帯はありません」と明記しています。ライフカードも2026年3月31日以降の出発分から自動付帯を取りやめ、補償額も下げています。「持っているだけで補償」を前提にした持ち方は、いま成り立ちにくくなっています。

誤解3「公式に載っていないなら、まだ付いている」 逆です。公式のカード紹介ページは、廃止された特典をわざわざ書きません。学生専用ライフカードの海外旅行傷害保険は廃止済みですが、カードページを見ても「廃止」の文字はありません。判断材料になるのは、カードページではなく付帯保険の改定告知のほうです。

誤解4「利用付帯なら、現地で交通費を払えば効く」 以前はそれで足りるカードがありました。三井住友カードは2025年10月16日以降の出発分から、日本出国後の公共交通機関の決済という条件を廃止しています。いまも出国後の支払いに道を残しているのはエポスカードのような一部で、「現地で払えばいい」は、もう一般則ではありません。

今日できること(5ステップ)

  1. 手元のカードの治療費用の上限を調べる。見るのは死亡保険金ではなく、傷害治療費用と疾病治療費用です。各社の「海外旅行傷害保険ご利用のしおり」に載っています。
  2. 付帯条件が自動付帯か利用付帯かを確認する。利用付帯なら、条件を満たす支払いが「旅行代金」なのか「募集型企画旅行の料金」なのかまで読む。
  3. 三井住友カードなら、保険プランの選択を確認する。「選べる無料保険」でスマホ安心プランなどを選んでいると、海外旅行傷害保険は対象になりません。
  4. 出国前に、条件を満たす決済を済ませる。旅行代金の一部でも構わない会社があります(楽天カードは「行程の一部でも出国前の決済であれば対象」「1円以上の代金を決済していれば対象」と公式に明記)。
  5. 足りない分を単体の海外旅行保険で埋める。治療費用が50万〜270万円では不足しうる渡航先・日程はあります。カード付帯を土台にして、上乗せを検討してください。

2025〜2026年、この分野で起きた変更

補償の縮小が続いている分野です。CardLensで確認できた主なものを時系列で並べます。

年会費無料カードだけの話ではなく、ゴールド・プラチナを含めた全体の流れだと分かります。2026年の変更全体は2026年の改悪まとめで追っています。

まとめ

無料カードの海外旅行保険は、治療費用の上限で比べてください。エポスカードが傷害治療200万円・疾病治療270万円で最も厚く、楽天カードが各200万円、三井住友カード(NL)は傷害・疾病あわせて50万円。学生専用ライフカードは2026年3月31日以降の出発分から補償そのものがありません。

そして、金額がいくら厚くても条件を満たす決済を出国前に済ませていなければ0円です。楽天カードは募集型企画旅行の料金が必要で航空券だけでは足りず、三井住友カードは2025年10月16日以降の出発分から出国前決済が必須になりました。カードを選ぶ作業と、旅行前に決済を済ませる作業は、セットで初めて意味を持ちます。

このデータは、出典として本ページ(https://cardlens.jp/articles/kaigai-ryoko-hoken-muryo-card/ )へのリンクを添えていただければ、記事・資料・SNSなどで自由にご利用いただけます。補償内容は変更され得るため、引用時は確認日(2026-08-22)もあわせて記載していただけると読者に親切です。

よくある質問

年会費無料カードで「自動付帯」の海外旅行保険はまだありますか?

本記事で公式を確認した範囲では、いずれも利用付帯でした。ライフカードも2026年3月31日以降に出発する旅行から自動付帯を取りやめ、補償額を減額しています。持っているだけで補償される前提は置かず、旅行代金の支払いで発動する利用付帯として扱うのが安全です。お持ちのカードの最新条件は、各社公式の付帯保険ページと改定告知でご確認ください。

治療費用と死亡保険金、どちらを見て選べばいいですか?

治療費用です。海外で実際に請求が発生しやすいのは、ケガや病気の診察・入院・搬送にかかる費用で、これは傷害治療費用・疾病治療費用の枠から支払われます。死亡・後遺障害の金額はカードの見出しになりやすい数字ですが、医療費の支払いには使えません。本記事の表を治療費用で並べ替えているのは、そのためです。

カードを2枚以上持つと、補償は合算されますか?

項目によって扱いが違います。エポスカード公式は、同種の保険が付いたカードを複数持っている場合、傷害死亡・後遺障害は合算されず最も高い保険金額が限度となり、それ以外の保険金額は合算されて各カードの金額に応じて按分して支払うと説明しています(確認日2026-08-22)。治療費用を厚くしたいときに複数枚が効くのはこのためです。ただし合算の扱いは会社ごとに規定があるため、実際の請求前に各社へご確認ください。

楽天カードは航空券をカードで買えば保険が効きますか?

公式は、日本を出国する以前に「募集型企画旅行の料金」に該当する代金を対象の楽天カードで支払っていることを条件としており、「航空券のみのご購入は含まれません」と明記しています。購入した航空券が募集型企画旅行に該当するかどうかは購入先の旅行代理店に確認するよう案内されています。補償期間は日本出国日から3か月後の午後12時までで、出国後に決済した海外ツアーは対象外です。あわせて公式ガイドの保険金額表では、携行品損害が「補償無し」と明記されている点にも注意してください(確認日2026-08-22)。

三井住友カードは、現地に着いてから交通費を払っても間に合いますか?

間に合いません。三井住友カードは2025年10月16日以降に出発する旅行から、日本出国後の公共交通機関の決済という利用条件を廃止しており、出国前の決済が必要です。あわせて、三井住友カードの付帯保険は「選べる無料保険」で、公式が「選択したいずれかのプランのみが対象です」と説明しています。海外旅行傷害保険を使うつもりなら、旅行安心プランを選んでいるかも渡航前に確認してください。

学生専用ライフカードの海外旅行保険は、いまも使えますか?

使えません。ライフカード公式の付帯保険の改定告知に「学生専用カードの海外旅行傷害保険廃止」と明記されており、2026年3月31日以降に日本を出発する旅行から廃止されています。家族特約対象者の補償もないと注記されています。公式のカード紹介ページには廃止された補償が書かれないため、廃止前の金額を現行として紹介している情報が残っている点に注意してください。詳しくは学生専用ライフカードのレビューで整理しています。

カード付帯の保険だけで足りますか?

渡航先・日程・持病の有無によります。本記事で確認した治療費用の上限は50万〜270万円で、入院や医療搬送が必要になる事故ではこの範囲を超えることがあります。カード付帯を土台にしつつ、不足しそうなら単体の海外旅行保険を併用するのが一般的な考え方です。判断の前に、まずお持ちのカードの治療費用の上限と付帯条件を「ご利用のしおり」で確認してください。

各カードの評価はエポスカード楽天カード三井住友カード(NL)VIASOカードのレビューで、他のカードとの比較はカード一覧で確認できます。各社の改悪・変更はカード改悪・変更ウォッチで追っています。

出典

この記事の最終確認日は2026-08-22です。個別の出典に確認日が付いているものは、その日に当編集部がそのページを確認しています。付いていないものは、本文中の確認日をご覧ください。

CardLens編集部

クレジットカードのデータと仕組みを解説しています。X: @cardlens_jp