クレカ積立の比較記事はたいてい「A社は1.1%、B社は0.5%」という一行で終わります。ところが実際に設定してポイント明細を見ると、書かれていた率で付いていないことがよくあります。理由は単純で、クレカ積立の還元率は、カードと証券会社を選んだ時点では確定しないからです。買うファンド、前年のカード利用額、積立以外の月の利用額、積立額そのものの階層——このいずれかで率が段階的に変わる仕組みが、いま主要な組み合わせのほとんどに入っています。
もう一つ、見落とされやすいのが逆向きの話です。積み立てた金額が、カードの年会費無料条件やポイント付与の集計に数えられるとは限りません。三井住友カードは、つみたて投資を年間ご利用金額の集計対象外だと公式に案内しています。つまり月10万円を12か月積み立てて年120万円をカードで決済していても、ゴールド(NL)の「年間100万円で翌年以降の年会費永年無料」には1円も効きません。
この記事では、13の組み合わせについて、率・率を分ける条件・月10万円を積み立てたときに年間でいくらになるかを並べます。数値がどこまで確認できたかも、そのまま書きます(確認日2026-09-02)。なお本記事はポイント還元の条件を比較したもので、特定の金融商品や投資行動をすすめるものではありません。
一覧表:13の組み合わせの還元率と年間還元額
年間還元額は「月10万円×12か月=年120万円」を各社の率に当てはめた計算値です。階層制は階層ごとに計算しています。
| 組み合わせ | 還元率 | 率を分ける条件 | 月10万円のときの年間還元 | 確認の根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 楽天カード(一般)×楽天証券 | 0.5%または1% | 買うファンドの代行手数料が年率0.4%(税込)未満か以上か | 6,000〜12,000円相当 | 公式(2026-09-02確認) |
| 楽天ゴールドカード×楽天証券 | 0.75%または1% | 同上 | 9,000〜12,000円相当 | 公式(2026-09-02確認) |
| 楽天プレミアムカード×楽天証券 | 1%(どちらの区分でも1%) | — | 12,000円相当 | 公式(2026-09-02確認) |
| 楽天ブラックカード×楽天証券 | 2%(どちらの区分でも2%) | 申込に楽天カードが定める条件あり | 24,000円相当 | 公式(2026-09-02確認) |
| au PAY カード×三菱UFJ eスマート証券 | 0.5%(200円につき1ポイント) | 今回確認した範囲では利用額条件の記載なし | 6,000円相当 | 公式(2026-09-02確認) |
| au PAY ゴールドカード×三菱UFJ eスマート証券 | 1.0%(100円につき1ポイント) | auマネ活2の加入者は上乗せの案内あり | 12,000円相当 | 公式(2026-09-02確認) |
| 三井住友カード(NL)×SBI証券 | 0.5%(条件未達は0%) | 前年のカード利用額10万円以上 | 6,000円相当/未達なら0円 | 自社の確認記録(2026-07-22) |
| 三井住友ゴールド(NL)×SBI証券 | 0.75%または1%(未達は0%) | 前年10万円以上で0.75%、100万円以上で1% | 9,000〜12,000円相当/未達なら0円 | 自社の確認記録(2026-07-22) |
| マネックスカード×マネックス証券 | 1.1%/0.6%/0.2%の階層制 | 2026年10月買付分から積立以外の月間ショッピング額が条件に追加 | 8,760円相当(条件により4,380円または0円) | 自社速報(2026-07-22) |
| dカード×マネックス証券 | 同じ階層制(1.1%/0.6%/0.2%) | 現時点で利用額条件の告知は確認していない | 8,760円相当 | 自社の確認記録(2026-07-22) |
| dカード GOLD×マネックス証券 | NISA口座は10万円まで一律1.1% | — | 13,200円相当 | 自社の確認記録(2026-07-22) |
| PayPayカード×PayPay証券 | 0.7%(付与上限は月700ポイント) | ゴールドでも0.7%で変わらない | 8,400円相当 | 自社の確認記録(2026-07-22) |
| エポスカード×tsumiki証券 | 年0.1〜0.5%(年1回付与) | 継続年数で上昇 | 1,200〜6,000円相当 | 自社の確認記録(2026-07-22) |
※三菱UFJ eスマート証券には三菱UFJカード決済のメニューもありますが、還元率を確認していないため表には載せていません。セゾンカード×セゾンポケットも、今回の確認対象に含めていません。
核心1:率は「一つの数字」ではなく、条件で段階的に決まる
同じカード・同じ証券会社でも、条件次第で受け取る額が数倍変わります。分岐のさせ方は会社ごとに違います。
楽天証券:率を決めるのは買うファンドのほう
楽天証券の公式ページ(更新日2026年8月20日、2026-09-02確認)は、還元率をファンドの代行手数料とカードの種類の2つで判定すると書いています。信託報酬のうち販売会社が受け取る手数料(代行手数料)が年率0.4%(税込)以上のファンドは1〜2%、0.4%未満のファンドは0.5〜2%です。
| カード種類 | 代行手数料 年率0.4%以上 | 代行手数料 年率0.4%未満 |
|---|---|---|
| 楽天ブラックカード | 2% | 2% |
| 楽天プレミアムカード | 1% | 1% |
| 楽天ゴールドカード | 1% | 0.75% |
| 上記以外の楽天カード | 1% | 0.5% |
同じ一般の楽天カードでも、買うものによって0.5%と1%に分かれます。年120万円なら6,000円相当と12,000円相当の差です。しかもこの判定は固定ではなく、公式は積立購入の前月12日時点の代行手数料データで判定する(変動タイプの一部ファンドは3か月前の13日時点)と説明しています。設定したときの率がずっと続く保証はない、という設計です。
なお、このページの判定基準は代行手数料とカード種類の2つだけで、カードの年間利用額を条件にする記載は見当たりませんでした(2026-09-02確認)。ただし「利用額を問わない」と明言する文言も今回は確認できていないため、条件がないとは断定しません。
三井住友カード×SBI証券:前年の利用額で0%か0.5%かが決まる
かつて無条件で0.5%だった三井住友カードのつみたて投資は、2024年11月買付分から年間カード利用額に連動する体系になりました。NLは前年10万円以上で0.5%、未達なら0%。ゴールド(NL)は前年10万円以上で0.75%、100万円以上で1%です。
この組み合わせは、月10万円積み立てても年6,000円相当を受け取るか、0円かの二択になり得ます。差額は還元率の小数点以下ではなく、全額です。
なお三井住友カードの該当ページ(つみたて投資 ポイント付与率)は、2026-09-02の取得時にアクセスが拒否され(403)、内容を再確認できませんでした。上記の数値はCardLensが2026-07-22および2026-08-22に公式ページで確認した記録に基づくものです。判断の前にVpassまたは公式ページでご確認ください。
マネックス証券:2026年10月から「積立以外の月間利用額」で3段階
マネックスカードの積立は、2026年10月買付分(2026年11月ポイント還元分)から、投信積立以外の月間カードショッピング利用額が還元率の条件に加わります。
| 積立以外の月間ショッピング利用額 | 還元率(5万円以下/5〜7万円/7〜10万円の部分) |
|---|---|
| 5万円以上 | 1.10% / 0.60% / 0.20%(現行維持) |
| 1万円以上5万円未満 | 0.55% / 0.30% / 0.10%(半減) |
| 1万円未満 | 0%(全階層) |
積立専用でカードを持っていた人は、10月買付分から0%になります。同時に年会費は2026年10月27日引き落とし分から永年無料へ改定されます。詳細はマネックスカードのクレカ積立に利用額条件が追加にまとめました。
ここで重要なのは条件の向きです。条件は「積立以外の利用額」なので、いくら積み立てても条件は1円も進みません。積立で条件を満たそうとしても、構造上できない設計になっています。
積立額そのものにも階層がある
マネックスカード・dカードの「1.1%」は、月5万円以下の部分にだけかかる率です。5万円超〜7万円以下は0.6%、7万円超〜10万円以下は0.2%。月10万円をフルに積み立てると、5万円分に1.1%、2万円分に0.6%、3万円分に0.2%で月730円、年8,760円相当となり、実効の率は0.73%まで下がります。「1.1%だから年13,200円」と考えると、4,000円以上ずれます。
核心2:積み立てた分が「利用額」に数えられるとは限らない
還元率と同じくらい効くのに、ほとんど触れられないのがこちらです。カード会社は「還元を計算する利用額」と「年会費無料条件や継続特典を判定する年間利用額」を別ルールで管理していて、クレカ積立は後者から外されていることがあります。
三井住友カードは、公式の「年間ご利用金額の集計対象外」一覧につみたて投資(SBI証券)を挙げています(CardLens確認日2026-08-06)。この集計対象外の扱いが効く先として公式が挙げているのは、ゴールド(NL)およびビジネスオーナーズ ゴールドの「年間100万円で翌年以降の年会費永年無料」「毎年100万円で10,000ポイント」、プラチナプリファードの継続特典、Oliveフレキシブルペイ プラチナプリファード/ゴールドの各特典などです(同2026-08-22)。
つまり、月10万円のクレカ積立を12か月続けて年120万円をカードで決済しても、100万円修行の達成には使えません。しかも三井住友カードの場合、その積立の還元率を決めるのは「前年のカード利用額10万円/100万円」のほうなので、積立は条件に数えられないのに、条件が未達なら積立の還元も0%になるという二重の構造になっています。詳しくはチャージでポイントは貯まるのかとゴールドカードの100万円修行比較で整理しています。
同じ論点は他社にもあります。楽天キャッシュ経由で積み立てる場合は、楽天キャッシュへのチャージ自体が2024年6月4日利用分からポイント進呈対象外で、楽天キャッシュを使ったときに200円につき1ポイントが付く形に移っています(CardLens確認日2026-08-22)。加えて2026年8月1日から楽天Edy→楽天キャッシュの月間チャージ上限が10万円から1万円へ引き下げられました。ENEOSカードP/Sでは2027年1月請求分から積立投資がポイント付与対象外になります。
自分のカードで確かめるときは、紹介ページではなく「ポイント進呈対象外」「集計対象外」という名前の一覧ページを探してください。紹介ページには、対象から外れたものは書かれません。
積立額の上限:確認できたのは月10万円
クレカ積立の上限は、今回確認した範囲では月10万円です。三菱UFJ eスマート証券は公式ページで「au PAY カード決済での投資信託積立の毎月の上限額を10万円に拡大しました」と案内し、サービス概要にも積立設定可能額を毎月100円以上、10万円以下と明記しています(2026-09-02確認)。NISA口座でも課税口座でも同じ上限です。他社もおおむね月10万円というのがこれまでの確認記録ですが、楽天証券については今回確認したページに上限額の記載がなかったため、本記事では金額を断定しません。
三菱UFJ eスマート証券のページからは、上限以外にも実務的な条件が確認できました(いずれも2026-09-02確認)。
- 使えるのは本会員のカードだけで、家族カードは利用不可。公式は「家族カードをご利用されると、贈与とみなされ納税が必要となる場合があります」と説明しています。
- 支払い方法は1回払いのみで、証券口座とカードの名義が一致している必要があります。
- 毎月11〜12日ごろにカードの認証が行われ、紛失再発行やカード種類の切替などで認証エラーになるとその月の買付ができません。
同社が公表する流れは、積立設定申込の締切が毎月15日ごろ(21日の4営業日前)、カード利用日が20日ごろ(21日の1営業日前)、積立指定日が翌月の第1営業日、カードの支払日が翌々月4日または10日、Pontaポイントの加算が翌々月末ごろ。設定からポイントが付くまで2か月以上かかるため、付いていないことに気づくのが遅れやすい領域です。
変更に気づくための3つの習慣
クレカ積立は一度設定すると触らないので、条件が変わっても気づけません。
- ポイント明細を年に2回は開く。付与額を積立額で割れば、実際に何%で付いているかがわかります。
- 年末に「前年の利用額」を確認する。三井住友カードのように前年の利用額で翌年の率が決まる仕組みでは、12月末が実質の締切です。積立額はその集計に入りません。
- 改定の告知を追う。マネックスカードのように予告から施行まで数か月あるものは、告知の時点で動けば間に合います。CardLensではカード改悪・変更ウォッチと2026年の改悪まとめで追っています。
確認できたこと、できなかったこと
2026-09-02に内容を直接確認できたのは、楽天証券と三菱UFJ eスマート証券の2社です。三井住友カードの該当ページはアクセス拒否(403)、マネックス証券の該当ページは接続できず、今回は再確認できませんでした。表の「自社の確認記録」の行は、CardLensが2026-07-22・2026-08-06・2026-08-22に公式ページ・公式告知で確認した内容です。その後に変更されている可能性を否定できないため、申込や設定変更の前には必ず各社の公式ページで最新の条件をご確認ください。
このデータは、出典として本ページ(https://cardlens.jp/articles/creca-tsumitate-kangen-hikaku/ )へのリンクを添えていただければ、記事・資料・SNSなどで自由にご利用いただけます。数値は変更され得るため、引用時は確認日もあわせて記載していただけると読者に親切です。
よくある質問
月10万円を積み立てると、年間でいくらポイントが付きますか?
率をそのまま当てはめると、0.5%で6,000円相当、0.75%で9,000円相当、1%で12,000円相当、2%で24,000円相当です(年120万円で計算)。マネックスカード・dカードのように積立額の階層で率が変わる場合は、月10万円で年8,760円相当(実効0.73%)。三井住友カード(NL)で前年の利用額条件を満たしていなければ0円です。実際の付与額は明細でご確認ください。
クレカ積立の上限はいくらですか?
三菱UFJ eスマート証券は、au PAY カード決済による積立を毎月100円以上10万円以下、NISA口座でも課税口座でも同じ上限と案内しています(2026-09-02確認)。おおむね各社で揃っていますが、扱いが異なる可能性があるため、設定前に利用先の公式ページでご確認ください。
クレカ積立の分は、ゴールドカードの年会費無料条件に数えられますか?
三井住友カードについては数えられません。公式の「年間ご利用金額の集計対象外」一覧につみたて投資(SBI証券)が挙げられており、ゴールド(NL)の「年間100万円で翌年以降の年会費永年無料」やプラチナプリファードの継続特典が改定対象として名指しされています(CardLens確認日2026-08-22)。他社については集計の可否を確認できていないため、本記事では判断を書きません。年会費無料条件を目的にするなら、還元率のページではなく「集計対象外」の一覧を先に開いてください。
マネックスカードで積立だけしています。何をすればいいですか?
2026年10月買付分から、投信積立以外の月間カードショッピング利用額が1万円未満だと還元率が全階層0%になります。1万円以上5万円未満で半減、5万円以上で現行維持です。日常の支払いを月1万円以上このカードに寄せるか、別の組み合わせに移すかを、9月買付分までに決めておくと安全です。詳細は速報にまとめています。
楽天カードのクレカ積立が0.5%になっているのはなぜですか?
楽天証券は還元率をファンドの代行手数料で分けています。代行手数料が年率0.4%(税込)未満のファンドは一般の楽天カードで0.5%、0.4%以上のファンドは1%です(2026-09-02確認)。判定は積立購入の前月12日時点のデータで行われるため、設定したあとに率が変わることもあります。楽天カードの利用明細では「楽天証券投信積立1%」のように率が入った名称で表示されます。
還元率が高い組み合わせを選べば得ですか?
本記事はポイント還元の条件を比較したもので、投資判断や商品選択への助言ではありません。投資信託には元本割れのリスクがあり、ポイント還元は運用の成果を保証するものではありません。還元率だけで見ても、カードの年会費、条件を満たすための利用額、積立額の階層まで含めないと手取りは比較できません。制度やリスクの詳細は各証券会社の公式ページや金融庁の解説をご確認ください。
還元率そのものの考え方はポイント還元率とは、2026年の変更全体は改悪を数えて分かったことで確認できます。カード単体の比較はカード一覧からどうぞ。