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カードの選び方

海外事務手数料の引き上げ(2026年)。カード別の比較と、還元率より手数料のほうが大きいという事実

更新日: 2026-09-02データ確認日: 2026-09-02執筆: CardLens編集部

年会費・還元率などの数値は発行会社の公式サイトで確認し、確認日を記載しています。詳しい検証の手順は編集方針(データの集め方と確認ルール)をご覧ください。

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海外旅行や海外通販でカードを使うとき、多くの人は還元率で持っていく1枚を決めます。ところが外貨建ての決済では、還元でもらえる額より、カード会社に引かれる「海外事務手数料」のほうが大きいのが普通です。しかもその手数料が2026年11月、複数の会社でまとめて上がります。

三菱UFJニコス・au PAYカード・東急カードは税込3.85%→4.50%へ。三菱UFJニコスが発行するJCBブランドのカードにいたっては税込2.04%→4.34%と、率が2倍以上になります。この記事では、公式の一次情報から各社の料率と適用日を一覧にしたうえで、「還元1.0%のカードで10万円の外貨決済をすると、実質いくらのマイナスなのか」を実額で示します。数値はすべて確認日2026-09-02時点のものです。

海外事務手数料とは何か(還元率と同じ土俵の数字である)

海外の店やサイトで外貨建ての決済をすると、請求は円に換算されます。このとき、国際ブランドが定める為替レートに、カード会社が一定率を上乗せします。これが海外事務手数料(外貨事務処理手数料)です。上乗せ後の金額がそのまま請求されるため、明細に「手数料」という独立した行が立つとは限りません。明細では見えにくいのに、請求額には織り込まれているのがこのコストの性質です。

重要なのは、この手数料が還元率とまったく同じ「利用額に対する%」だという点です。つまり両者は直接引き算できます。還元1.0%のカードで手数料が4.50%なら、外貨決済における実質的な収支はマイナス3.5%。還元率だけを見てカードを選ぶと、この3.5%を見落とすことになります。

なお、対象は「海外の店で使ったとき」だけではありません。日本語表記のインターネットサイトや通信販売であっても、決済通貨が外貨なら対象です。三菱UFJニコスも東急カードも、公式のお知らせでこの点を注記しています(確認日2026-09-02)。海外の動画・音楽・クラウドのサブスクリプションは、毎月この手数料を払い続けている可能性があります。

一覧比較:カード別の海外事務手数料(2026年の改定を含む)

税込表示でそろえ、実施済みの改定も含めました。

発行会社・カード 対象ブランド 事務手数料(税込) 適用の基準日
三菱UFJカード(MUFG) Visa / Mastercard 3.85%→4.50% 2026年11月16日ご利用分〜
NICOSカード Visa / Mastercard 3.85%→4.50% 2026年11月6日ご利用分〜
三菱UFJニコス発行カード JCB 2.04%→4.34% 三菱UFJカードは11月16日/NICOSカードは11月6日
三菱UFJニコス発行カード アメリカン・エキスプレス 2.00%→4.30% 同上
JALカード(※) アメリカン・エキスプレス 改定により3.43% 同上
JALカード(※) Visa / Mastercard 3.63%(従来通り) 据え置き
au PAYカード/ゴールド 自社設定 3.85%→4.50% 2026年11月20日以降に処理された売上
東急カード Mastercard 3.85%→4.50% 2026年11月16日に処理された利用分〜
エポスカード Visa 2.20%→3.85% 2025年7月(実施済み)
セゾンカード Visa / Mastercard 2.20%→3.85% 2024年12月4日以降の処理分〜(実施済み)
セゾンカード JCB 2.15%→3.85% 同上(実施済み)
セゾンカード アメリカン・エキスプレス 2.00%→3.85% 同上(実施済み)

※出典は各社公式(三菱UFJニコス/au PAYカード/東急カード/エポスカード/セゾンカード)、確認日2026-09-02。三菱UFJニコスは「一部のカードは対象外」と注記しています。(※)JALカードの2行は三菱UFJニコスのお知らせに記載された率です。JALカードは複数の会社が発行しており、発行会社によって扱いが異なる場合があります。エポスカードの行は実施済みの改定で、適用の基準日は同社公式のお知らせをご確認ください。ここに載っていない発行会社の率は当社で確認できていないため記載していません。お手持ちのカードの率は発行会社の公式でご確認ください。

自社速報として個別にまとめたものは東急カードの外貨手数料引き上げau PAYカードのリボ・外貨値上げにあります。日付・料率はいずれも上表と一致しています。

還元率より手数料のほうが大きい:10万円の外貨決済で計算する

海外で10万円ぶん(円換算)を外貨建てで決済したケースです。還元は1.0%=1,000円相当として、手数料を差し引いた実質収支を出しました。

事務手数料(税込) 引かれる手数料 還元1.0%の価値 実質収支
2.20%(改定前のエポス・セゾン水準) 2,200円 1,000円 −1,200円
3.43%(JALカードのアメックス) 3,430円 1,000円 −2,430円
3.63%(JALカードのVisa/Mastercard) 3,630円 1,000円 −2,630円
3.85%(エポス・セゾンの現行) 3,850円 1,000円 −2,850円
4.30%(三菱UFJニコスのアメックス) 4,300円 1,000円 −3,300円
4.34%(三菱UFJニコスのJCB) 4,340円 1,000円 −3,340円
4.50%(三菱UFJ・au PAY・東急の改定後) 4,500円 1,000円 −3,500円

還元1.0%のカードは、外貨決済ではどの行でもマイナスです。還元を1.5%に上げても4.50%のカードならマイナス3,000円、2.0%に上げてもマイナス2,500円で、符号は変わりません。手数料を打ち消すには、手数料率と同じだけの還元率が必要——つまり4.50%の手数料に対しては4.5%還元が要るという計算になります。国内の通常還元でこの水準に届くカードは、ほとんどありません。

そして、この2つの数字は同じ重さではありません。手数料は円で、翌月の請求としてすぐ引かれます。還元はポイントで、付与に時間がかかり、交換先によって価値が目減りすることもあります。同じ「%」でも、先に円で出ていく側のほうが重い。還元率の考え方そのものはポイント還元率とはで整理しています。

旅行1回ぶんで見ると

滞在中に30万円ぶんカード決済したとして、手数料率だけで次の差が出ます。

「どのカードを財布から出すか」を変えるだけで、この額が動きます。還元率0.5%の違いを気にするより、まず手数料率を見るほうが効きます。

なぜブランドによって率が違うのか(二階建ての構造)

同じ発行会社でも、Visaは4.50%なのにJCBは4.34%、アメックスは4.30%——と率がずれています。手数料が「国際ブランドが定める率」+「発行会社が上乗せする率」の二階建てだからです。公式の内訳にそれが出ています。

上がっているのは主に発行会社の上乗せ分で、「JCBブランドだから安い」といった単純な話ではありません。JCBカードWのようにJCB本体が発行するカードと、提携先が発行するJCBブランドのカードでは、この上乗せが別物になり得ます。ブランド名ではなく発行会社の率を見るのが正しい確認方法です。

適用開始日は「使った日」とは限らない

上表の「適用の基準日」は、会社ごとに書き方が違います。ここが実務上いちばん引っかかります。

売上データが加盟店からカード会社に届くまでには数日から数週間かかることがあり、ホテルや航空券のように予約と売上計上がずれる取引ではさらに開きます。「11月15日までに帰国すれば旧料率」とは言い切れないということです。11月前後の旅行は、新料率で計算しておくほうが安全です。

海外ATMキャッシングのコスト構造

現地通貨の現金が必要なとき、海外キャッシングは両替所より有利になることがあります。ただしコストの内訳が両替とは違います。

エポスカードの公式FAQでは、海外キャッシング利用時には利息(実質年率18.0%)に加えてATM手数料がかかり、その手数料は利用金額が1万円以下なら110円(税込)、1万円を超える場合は220円(税込)と案内されています(確認日2026-09-02)。

ここで効いてくるのが利息の計算方法です。キャッシング(一括払い)の利息は一般に日割りで、借りた日から返済日までの日数分がかかります。実質年率18.0%を単純に日割りすると1日あたりおよそ0.049%なので、10万円を30日間借りれば約1,480円、繰上返済で7日に縮められれば約345円という計算になります(当社試算。実際の計算方法や締め日の扱いは会員規約によります)。帰国後すぐ繰上返済できるかどうかで負担が大きく変わるのがキャッシングの特徴です。

もうひとつ、ショッピングとの決定的な違いがあります。東急カードは公式のお知らせで「海外キャッシングについては、海外取引に関わる事務処理手数料を加えません」と明記しています(確認日2026-09-02)。事務手数料4.50%が乗らない代わりに利息とATM手数料がかかる構造です。したがって短期間で返す前提なら、現金の調達手段としてキャッシングが不利とは限りません。ただし返済が長引けば年率18.0%が効き続けます。この扱いは会社ごとに異なる可能性があるため、手持ちのカードの規約でご確認ください。

DCC(現地通貨建て/円建ての選択)の落とし穴

海外の店やATMで「日本円で決済しますか?」と聞かれることがあります。これがDCC(Dynamic Currency Conversion)です。画面に円で金額が出るので親切に見えますが、構造上の問題があります。

たとえば東急カードは、この手数料を「外貨によるカード決済が行われた際、海外取引に関わる事務処理費用として弊社が設定する手数料」と説明しています(確認日2026-09-02)。円建てを選ぶと決済通貨が円になるため、この定義では事務処理手数料の対象から外れ、代わりに店舗側やATM側が設定したレートで換算されることになります。ただし円建ての海外利用について別の手数料を定めている会社もあり得るので、扱いはお手持ちのカードの規約でご確認ください。いずれにせよ問題は、そのレートに何%の上乗せが入っているかがその場で示されるとは限らない点です。カード会社の率は公式サイトで事前に確認できますが、DCCの上乗せ幅は取引ごとに変わり得ます。

つまり「率が事前に分かるコスト」と「率が分かりにくいコスト」の選択です。一般に現地通貨建てが無難とされるのは、この見通しの立てやすさによるところが大きいでしょう。店員が確認なく円建てで処理してしまうこともあるので、伝票にJPYと印字されていたら、その場で訂正を依頼するとよいでしょう(対応できるかは店舗によります)。海外ATMでも同様の選択画面が出ることがあり、「Without Conversion」などの表記が現地通貨建てにあたります(文言はATMによって異なります)。

いま、できる対策

  1. 手持ちのカードの事務手数料率を調べて、海外用の1枚を決める。率は各社の公式サイトか会員規約にあります。同じ人が持つ複数枚の間で1%以上の差があることは珍しくなく、30万円の決済なら3,000円以上の差になります。
  2. 還元率ではなく手数料率で選ぶ。外貨決済に限れば、還元1.0%の差より手数料1.0%の差のほうが、見込みの立てやすさでも即時性でも重い数字です。
  3. 外貨建てのサブスクを棚卸しする。日本語表示でも決済通貨が外貨なら対象です。毎月の固定費なので、使っていないサービスの解約はそのまま効きます。
  4. DCCは断り、現地通貨建てを選ぶ。伝票の通貨表示を確認する習慣で、上乗せ幅の分からないコストを避けられます。
  5. 現金は必要な分だけキャッシングし、帰国後すぐ繰上返済する。利息は一般に日割りの構造なので、借入期間の短縮がそのまま効きます。
  6. 11月前後の旅行は新料率で予算を組む。売上処理日基準の会社が多く、利用日で線を引けないためです。

海外旅行保険の付帯条件も同時に見直す価値があります。観点は海外旅行保険が無料で付くカードにまとめました。

まとめ

2026年11月、三菱UFJニコス・au PAYカード・東急カードの海外事務手数料が税込4.50%になります。三菱UFJニコスのJCB・アメックスブランドは2%台から4%台へと率が2倍以上に。エポスカードとセゾンカードはすでに税込3.85%まで引き上げ済みで、今回確認できた範囲では3〜4%台に集まりつつあるのが今の状況です。

結論はひとつです。外貨決済では、還元率より事務手数料率のほうが金額として大きい。還元1.0%のカードで10万円使えば、還元1,000円に対して手数料は3,430円〜4,500円で、実質はマイナスです。還元率を0.5%改善する努力より、手数料率が1%低いカードに変えるほうが効きます。改定が効き始める11月までに、手元のカードの率を一度確認しておくことをおすすめします。

このデータは、出典として本ページ(https://cardlens.jp/articles/gaika-tesuryo-up-2026/ )へのリンクを添えていただければ、記事・資料・SNSなどで自由にご利用いただけます。数値は変更され得るため、引用時は確認日(2026-09-02)もあわせて記載していただけると読者に親切です。

よくある質問

海外事務手数料は、還元でどのくらい取り返せますか?

手数料率と同じだけの還元率がないと、収支はマイナスのままです。税込4.50%の手数料を打ち消すには4.5%還元が必要で、通常還元でこの水準のカードはほとんどありません。還元1.0%のカードで10万円の外貨決済をすると、還元1,000円相当に対して手数料4,500円で、差し引き3,500円のマイナスになります(確認日2026-09-02の料率で計算)。

日本語のサイトで買い物をした場合も対象になりますか?

決済通貨が外貨なら対象になり得ます。三菱UFJニコスは公式のお知らせで「日本語表記のインターネットサイトや通信販売等であっても外貨によるショッピングとなる場合がございます」と注記しており、東急カードも同趣旨の案内をしています(確認日2026-09-02)。海外事業者のサブスクは、この形で毎月手数料がかかっている可能性があります。請求額が月ごとに微妙に変動する場合、外貨建てが疑われます。

11月15日までに帰国すれば、旧料率のままですか?

言い切れません。au PAYカードは「2026年11月20日以降に処理された売上」、東急カードは「2026年11月16日に処理されたご利用分」が基準で、いずれも公式が「処理日は利用日と一致しない場合がある」と注記しています。三菱UFJニコスも、開始日前の利用分でも売上データの受信日によっては新手数料になる場合があるとしています。11月前後の旅行は、新料率で予算を見ておくほうが安全です。

同じ発行会社なのに、ブランドで率が違うのはなぜですか?

手数料が「国際ブランドが定める率」と「発行会社が上乗せする率」の二階建てだからです。三菱UFJニコスのJCBブランドの改定後4.34%(税込)は、公式に「JCBが定める1.60%と当社2.49%(税込2.74%)」と内訳が示されています。ブランド名ではなく発行会社ごとの率を確認してください。

海外ATMのキャッシングと、ショッピング決済はどちらが安いですか?

コストの構造が違うため、期間次第です。エポスカードの公式FAQでは、海外キャッシングは利息(実質年率18.0%)とATM手数料(1万円以下110円、1万円超220円、いずれも税込)がかかると案内されています。一方で東急カードは「海外キャッシングについては、海外取引に関わる事務処理手数料を加えません」と明記しています。利息は一般に日割り計算なので、帰国後すぐに繰上返済できるなら負担は小さく抑えられます。返済が長引くと年率18.0%が効き続ける点には注意してください。扱いは会社ごとに異なる可能性があるため、規約でご確認ください。

海外で「日本円で払いますか?」と聞かれたら、どうすればいいですか?

現地通貨建てを選ぶのが無難とされています。円建て決済(DCC)は店舗側やATM側が設定したレートで換算され、その上乗せ幅がその場で示されないことが多いためです。カード会社の事務手数料は公式サイトで事前に率を確認できますが、DCCの上乗せは取引ごとに変わり得ます。ATMの画面では「Without Conversion」などの表記が現地通貨建てにあたります(文言はATMによって異なります)。伝票にJPYと印字されていたら、その場で訂正を依頼するとよいでしょう。

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出典

この記事の最終確認日は2026-09-02です。個別の出典に確認日が付いているものは、その日に当編集部がそのページを確認しています。付いていないものは、本文中の確認日をご覧ください。

CardLens編集部

クレジットカードのデータと仕組みを解説しています。X: @cardlens_jp